

オフィスが与える就業意向の影響調査
人手不足により企業間での採用競争は激しくなり、昨今の物価のインフレ基調も相まって、賃金上昇も顕在化するとともに休日やその他条件改善も多くの企業で実施、働き方も「出社」「フルリモート」「ハイブリッド」と多様になり、オフィスの位置づけは大きく変わり続けています。
そんなオフィス環境にスポットをあて、採用においてオフィス環境の与える影響を調査しました。
【About】
人材採用論Labとは
人材採用論Labでは、企業がもつ「採用力」を6つの因子に分類、それぞれの因子が採用に与える影響力の調査を行っています。
*1:
人材採用論“は株式会社ツナググループ・コンサルティングがコンサルティング業務の中で蓄積したノウハウを形式知化した論文
採用力の6つの因子とは?
新しい生活様式を経て、
多様な価値観での働き方改革がますます進む時代へ。
企業に求められるのは、 そんな時代の流れを機微に捉えたあらゆる側面での「採用力」。
当社では潜在化された「採用力」を6つの因子に分類し、 それぞれの影響力やバランスを見る調査・レポーティングを実施。
給与(salary)
安定(stable)
企業(brand)
文化(culture)
職場(workplace)
休日(day off)
それぞれの因子が採用に与える影響力の調査を行い、発信しています。

【オフィスが与える就業意向の影響調査】
職場環境に関する調査データまとめ
01
83%の求職者がオフィス環境が魅力的だと志望度が上がると回答
企業選びにおいてオフィス環境が魅力的だと志望度が上がると回答した求職者は83%にも上りました。オフィス環境が魅力的であることが、採用の競争優位を決める1つのファクターと言えます。 また、採用形態、年代に関わらず、志望度が上がると回答した割合が高いことも明らかです。

02
オフィス環境を重視している企業が54%に対し、求職者の重視度は69%と、15%の乖離
労働環境と労働条件において、企業と求職者の間に認識の差はほとんどありませんでしたが、オフィス環境においては企業と求職者では認識の乖離が15%もあることがわかりました。 企業が想定している以上に候補者はオフィス環境を重要視していると言えます。

また、オフィス環境への注力度合いは会社規模と相関しており、従業員規模1,000名以上のエンタープライズ企業においては62%が重視していると回答している一方で、100名未満は44%が重視と18%の乖離がありました。 エンタープライズ企業では、給与だけでなくオフィス環境にも注力し、採用における競合優位性を築こうとしていると考えられます。

03
利便性、個人スペースの有無を重視する人は5割以上。「多様な価値観の中で働きやすい空間」であるかどうかが重要に
オフィス環境の項目に着目してみると、求職者は利便性・個人スペースの有無を重視していることがわかりました。年代によって多少差はあるものの、リフレッシュスペース・オープンな空間といった「多様な価値観の中で働きやすい空間」が重視されていると言えます。

求職者・企業がオフィス環境の中で重要視している点はギャップがあり、超売り手市場である現在は、求職者側の重要視している「利便性と個人スペースの確保」を実現することが、採用力の強化につながると言えます。

04
分析結果
職場(workplace)は採用力を引き上げる因子で、競合優位性確保に向けたオプションの1つと言える
今回、従来不透明だった、採用におけるオフィス環境の与える影響を調査した結果、採用力を引き上げる因子の1つであると分かりました。 特に採用力の6つの因子の中でも、Soft(持続的効果)とHard(効果即効性)の両面を持つ、投資効果が得やすい因子と言えるでしょう。

「賃金上昇」、「労働時間の減少」というメガトレンドは変わらず、多くの企業で実施せざる得ない施策となっており、競合差別化がはかりづらく、例え給与を上昇させても全体給与平均が引きあがることで、想定した効果を得られるかが不透明である。
「企業ブランド」や「文化」は短い期間で形成することは難しく、自社でコントロール・マネジメントすることは難しい。また、安定性については色々な指標が存在するが「自己資本比率」「利益剰余金や手元にある現預金」「CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)」「ワーキングキャピタル(運転資金)」などあるが、これらの指標については財務戦略及び資本政策にも関わる為、「企業ブランド」や「文化」同様にコントロール・マネジメントすることは難しい。
「職場」はSoft(持続的効果)とHard(効果即効性)の両面を持つ、投資効果が得やすい因子と言える。
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